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落下物衝撃テスト

大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻建築構造分野 吉中 進 先生
「難燃性発泡スチロール材を用いた天井材落下試験」報告書より抜粋

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研究目的
難燃性の発泡スチロール材から成る軽量天井材の落下時における安全性を検証し、吊り天井への適用性を確認することを目的とする。
そのために、天井材の落下試験を実施して衝撃荷重を評価することにより、一般の吊り天井に使用されている石膏ボードと本研究で用いる軽量な発泡スチロール材との安全性能の差を比較・検証する。

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試験方法
建物内部の梁に滑車を取り付け、人力によりロープで天井板を持ち上げ、所定の高さからアクリル板に向けて落下させた。
落下高さは、1mから4mまで約1m間隔で落下させた。以下省略。

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試験体
試験体は、以下の2種類を用いた。
但し、石膏ボードの質量は、使用した5体の試験体の平均値である。
①難燃性発泡スチロール  平面寸法:910mm×910mm 厚さ:15mm  質量:1.09kg
②石膏ボード  平面寸法:910mm×910mm 厚さ:12.5mm  質量:7.30kg

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計測方法
衝撃荷重を計測するために、荷重計をアクリル板の下に3箇所設置し、3箇所の合計荷重を衝撃荷重とした。アクリル板の寸法は、 平面寸法1500mm×1500mm、厚さ 15㎜である。
荷重計は、東京測器社製の圧縮超小型荷重系(CLS-5KNB)を用いた。
荷重データは、東京測器社製の超小型動歪みレコーダ(DC-204R)を用いて取得した。
計測時間間隔は0.01秒とした。 以下省略

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試験結果
落下試験は、2016年4月1日と4月15日の2回に分けて実施した。落下高さと最大衝撃荷重を表1と表2に示す。
最大衝撃荷重とは、天井板の落下直後の同時刻に、3個の荷重計により計測された荷重値の合計の最大値である。
図3 天井材の落下高さと最大衝撃荷重の関係
図3に落下高さと最大衝撃荷重の関係を表す。
図中に示した2,000NはNahumにより提案されている側頭頭頂骨の障害最下限値であり、女性の側頭頭頂骨の崩壊荷重実験値を参考に決められている。図より、石膏ボードの場合は落下高さが3m付近から人命に危害を及ぼし得る可能性があることが分かる。
難燃性発泡スチロール材の場合は、4mの高さから落下しても15倍程度の安全率を有しており、人命に危害を及ぼす危険性はないと判断できる。 なお、既往の研究では、マグネシウム合金製の衝撃吸収性試験用人頭模型を用いて衝撃荷重を計測している。
文献によると、厚さ12.5mmの石膏ボードを用いたとき、4mの高さから落下させたときの最大衝撃荷重は2,600N程度であり、本試験結果とほぼ同じであることから、被衝撃体の違い(アクリル平板と人頭模型)による試験結果の差は小さいと考えられる。
参考文献)日本建築学会編:天井等の非構造材の落下に対する安全対策指針・同解説,2015年1月

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まとめ
本試験の結果を以下にまとめる。
1)ほぼ等しい落下高さで計測した2種類の天井材の最大衝撃荷重について、難燃性発泡スチロールは石膏ボードの3.80~5.76%である。
約4mの高さから落下した難燃性発泡スチロール材の最大衝撃荷重は、約1mの高さから落下した石膏ボードの最大衝撃荷重の1割程度である。
2)Nahumにより提案されている側頭頭頂骨の障害下限値を用いると、石膏ボードの場合は約3m以上の高さから落下すると人命に危害を及ぼす可能性がある。一方、難燃性発泡スチロール材の場合は、約4mの高さから落下しても人名に危害を及ぼす影響は無いと考えられる。